Kanae's Book Journal Occasionally with Movies

読書感想文とときどき映画。

<The 52nd Book> モヤる言葉、ヤバイ人 自尊心を削る人から心を守る「言葉の護身術」

ああ、私も人をモヤらせてしまったことある...

私もヤバイ人だったことあるかも...

って、自身を省みるきっかけにめちゃくちゃなります。

 

「モヤる言葉、ヤバイ人  

自尊心を削る人から心を守る『言葉葉の護身術』

(大和書房著:アルテイシア

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www.daiwashobo.co.jp

 

超簡単に言えばデリカシーとコミュ力の問題です。

本人は褒め言葉や助言として言っているつもりでも、「それどういう意味?」

と受け手として聞きたくなる側面は意外と多いもの。

自分のセクハラ、パワハラモラハラに無自覚かつ正当化されて、

ドン引く以外、どう撃退していいかもわからないし。

そんなデリカシーもコミュ力のカケラも感じられない言葉の数々や、

ハラスメントチックな人々への対処法を教えてくれている素敵な教科書です。

しかもまた、トーンが軽くて面白い。

撃退法として、”ゴルゴ返し”とか”エジソン返し”とか、イカす名称で笑えたり、

機知に富みつつ、笑える文章ばかりで読みやすい。

 

「いい奥さんになりそう」

「子供がいるように見えない」

「女子力磨いてこ」

その他多数のモヤ系ワード、さすがに最近は気をつけているつもりですが、

それでも、私も過去にこれらの言葉を、放ってしまったことはあります。

私だって、家父長制の社会に生まれ育って、めちゃくちゃ洗脳されているから

女は可愛くないといけない、良妻賢母にならないといけない、みたいな

価値観に未だ翻弄されています。

必ずしも本書には書いていなくても、家父長制文化や思想に基づいた考え方は

骨の髄まで染み込んじゃってることもあるし、気をつけて口に出さないように

しているけど、気をつけていないとポロっと出てしまうことだってあるし、

そんな夜もう、ドクとデロリアンが迎えに来てくれるよう本気で星に願う。

だって、余計なことは言わなくていいんだよ。

クソバイスも当てつけ系褒め言葉も、余計どころかマイナスにしか作用しない。

 

 

覚えたてのフェミニズムルッキズムに関しての話題が、思いがけず

のぼったりしたときに、

「痩せた?とか太った?とか相手に会った途端に挨拶代わりに開口一番で言うの、余計なお世話すぎて、しかも無神経すぎてマジで無理。」

という私のコメントに

(これは、別に勉強したからそう感じるわけではなく、私は自分が世間で言う

デブだからこそ、他人から自分の体型についてコメントされるのが本当に嫌)

「そんなこと言ったら、何も話せることなくなっちゃうじゃん」

って言われて、唖然としたことがあります。

人の体型に言及することの、一体どういう側面が、コミュニケーション自体や

相手に対して、プラスに働く要素があると思っているの?

太ったり痩せたりしたことが、病気かもしれないとか思わないの?

私の体型が変わることは、何かあなた自身や、私とあなたの関係性に

変化を与える重要事項なわけ?

もう数々の質問が浮いては消えますが、最終的に行きつく答えは

じゃあ何も話さず黙っておけばよろしいではないか。

他人の見たに言及することはあまり望ましくない、というコメントに対して、

「何も言えなくなっちゃう」と言うくらいなのであれば、一度、小学生から

やり直して、人との付き合い方やコミュニケーションの取り方を学び直して

きてください、としか言いようがない。

「そのくらい私はコミュ力も会話力もないです」って自分から言っているような

ものなので、ご自身の能力がその場に見合わないなら、黙っていてください。

思うのは自由。

でも、わざわざ言う必要のない、プラスにならない言葉を発するのは愚行です。

ここまで言い切るけど、それでも私だって、言ってしまうことはあるし、

まだまだ練習中です。

皇室関連で話題の小室氏だってさ、別にポニーテールだろうと何だろうと、

別にいいじゃん...

私のポニーテールとおそろいだよ、私もいまポニーテールしているよ、

取材してよ。笑笑

 

 

本作で書かれていた避けるべき人に、「体育会系の人」というのもあって、

もうペコちゃん人形並みに首を揺らしていたんですが、自称体育会系の人には

申し訳ないですが、もう私も普通に、体育会系、大嫌い。

とはいえ、私が通っていた公立中学は、軍隊のようにしょうもない校則があり、

些細なことをいちいち問題化して取り上げる、不必要な厳しさで溢れる学校でした。

「気合い入れれば何とかなる、気合いが全て!!」みたいな。

アニマル浜口の学校版です。

アニマル親子を批判する気は全くありませんし、可愛らしいと思っていますけど。

その体育会系根性論で、無数の命を亡くし、敗戦したのではなかったでしたか、

としか言いようがない。

ホモソ根性論は、男性同士で自らの首を絞め合い、女は排斥され、誰得論でしか

ないので、もうこれを中学の頃の私に教えてあげて、布教活動するように当時の

私を洗脳したい。

脳みそ筋肉化系教育に、あんなに苦しむ必要はなかったのよ、

当時の私に同情しかない。

 

 

というような、あんな言葉やこんな人に対して、感じ方や考え方も含めて

どう対処するか、ということが、面白おかしく書いてあります。

同時に

あなたはそんな無神経なこと言ってないですよね?まさかね!

と、ちくちく呼び掛けてくれもします。

他人から心無い言葉を投げられたときもそうですが、私は、自分が他人を

傷つけたとわかったときも、相当傷つきます。

その両方に対しての迂回路を教えてくれる、そんな本作です。