<The 61st Book>きれいになりたい気がしてきた
私はまだ若いけれど、それでも歳をかさねて悩みや気になるところは変わってきていることを実感している。
こうして赤裸々に、自身の内外の想うところを語ってくれる人がいるのは、ありがたいことです。
「きれいになりたい気がしてきた」(光文社) 著:ジェーン・スー
最後に本ブックレビュー更新して、はや1年弱www
2022年は本を読めるようなって以降、人生史上最も本を読まなかった年でした。
多少読んではいたけれど、両手に収まる冊数程度でしょう。
心身の健康と時間の余裕があってこそ、読書はできるものなのだと実感しました。
度重なる病院通い、常夏の楽しくもtoxicな日常、転職による帰国と引っ越し、全く異なる業界・職種の仕事、それらに伴う別れと出会い、旅行も少しはさみながら、2022年は公私ともに転機の年でした。
気の赴くままに、心を満たす読書がようやくできるようになった気がします。
久々のレビューはやっぱりジェーン・スーさん。笑
本作が昨年始めのほうに刊行されたのは知っていたけど、バンコクの紀伊国屋で取り寄せる元気は当時の私にはなかった。
久々の読書、本作を最初に手に取ってやっぱり正解だったと思います。
見た目と心、仕事とプライベート、自分と他人。
それらのバランスを取るための、彼女のあらゆる気づきを共有してくれています。
彼女は少し先輩世代だから、今は共感できなくても今後の勉強になるものもあれば、すでに大きくうなずける内容もある。
ただ、やっぱりまだ私自身が子供だと思うのは、「日本社会が(主としてジェンダーの観点から)良い方向に向かっている。多様性に関して前進している」との度々の言及に首を縦に振れないこと。
その言及自体は、正しいと思います。
でも、まだまだ生きづらい、遅すぎる。
いかなる点も海外が日本より優れているとは全く思わないけれど、少なくとも、人としての在り方についてを含むジェンダー的思想に関しては、前進が遅々としすぎている。
海外のニュースやメディアに容易に触れられるこの時代、世界でのノーマルが、時としてアブノーマルとしてとらえられる日本人社会に組み込まれている私は、他国の社会を見て指をくわえてしてしまうことも多々です。
(海外に住もうと、少なくとも私は、日本人社会からは逃れられません。親と縁が切れないのと似たような感覚です。他国で「外国人」として暮らすために、自らの出自のバックグラウンドによるサポートは、私には必須でした。)
喉から手が出るほど欲しい、他国では当然となりつつある環境が、日本社会ではまだ得られていないことに、やきもきしてしまうのは、私がまだ若いからだろうか。
年越しは、モンゴルでしました。
4年間の常夏の国での生活を9月に終えて、「日本、寒い!乾燥やばい!!」と言っておきながら、さらなる寒さと乾燥の国へ、鍛錬しに行ってきました。
旅行へ行ければ国内外どこでもよかったのが本音です。
新会社の休暇システム、私の日本の正月嫌い、計画を立て始めた時期と予算、色々な条件に見合ったのが、オフシーズンのモンゴルだっただけなのです。
海外ツアー経験は数あれど、一人参加は初めてで、少しそわつきながら渡航しました。
最後に海外旅行ツアーに参加したのは、もう4年前。
それまでは、どのツアーでも、ツアー客の中で常に一番若い世代でした。
モンゴルで蓋を開けてみてびっくり。
比較的、少人数催行とはいえ、ツアー客の半数が20代前半でした。学生さんもいます。
そういえば、新しい会社で所属するチームも、私の年齢はもう、平均年齢から少し下くらいだった。
年下先輩もたくさんいます。
ランダムに何かしらのグループに所属するとき、もう私は一番若くはないという事実を目の当たりにしました。
中堅と言われるようになる20代後半から30代前半という世代でいながら、そのうちの4年間を駐在という立場で海外で過ごしている間だったから、最も若い世代でいられたのだ、とハッとさせられた。
自分が加齢しているという事実が完全に抜け落ちてしまっており、モンゴルで勝手にひとり赤面の思いでした。
あまりの寒さで、顔が物理的にも赤くなったのは言うまでもありませんが。
そんな極度の寒さと乾燥で、最近気になり始めている額の皺に、これでもかというほどクリームを塗りたくる私。
かつては化粧水すらつけなかったのに。
食事の席では、パンっと張ったみずみずしいお肌の持ち主たちから、学生ならではの悩み、始まったばかりやこれから始まる社会人としての期待や愚痴などが聞こえてくる。
かつては私も感じていたこと。
でも、それらはもう「かつて」になってしまったのだ、と恥ずかしさから寂しさへ、感情もシフトします。
20代、若さが生々しいな。。。とごちていたら、なんと、本作にも全く同じことが書いてあるではないか。
同段落に、「女の三十代は生きているだけでそこそこ美しい」との言葉もあり、旅の最終夜に励まされてしまいました。
そんな複雑な想いを抱えつつも、Z世代の話を聞けることもなかなか新鮮。
カップラーメンを凍らせて食品サンプルにしたり、遊牧民の犬と遊んだり、世代の違う私も一緒にはしゃがせてくれて、感謝です。
冬のモンゴルの美しい風景と美味しい食事に匹敵する経験です。
短期間ながら、普段出会わないような人たちとわずかながらも親交を深め、連絡先まで交換させてもらいました。
これから細々と続く縁になるだろうか。
どうせオフシーズンだし寒いだけだろう、「正月の日本らしさ」から離れられればいいんだよ、と全く期待もせずテンションも上がらずに乗ったウランバートル行きの飛行機。
成田へ向かう飛行機では、目に焼き付けてきた美しい情景もさることながら、いろんなお土産を抱えて帰ってくることができた気がしています。
(ちなみにモンゴル土産、私にはそそられるものが無さすぎてびっくり。モンゴルウォッカだけ買って帰ってきた。)
予想以上に良い旅になり、2023年、幸先が良いです!
今年は、また読書をする年にしたいです。
(仕事柄、書籍を読むのも仕事のようなものなのですが、たとえ興味深い内容でも、それが仕事に関わることだと、笑えるほど触手が伸びず、ページも進まず困っている。笑)
本作の中にもあったけれど、私の集中力もすでに下降線を描いています。
急降下な感じもしています...
さらに老眼や白内障が出てくる前に、たくさん心を満たす本を読みたい...