<The 50th Book> アウトサイダー
米国ホラー小説の巨匠、スティーヴン・キングの最新作です。
上下巻かつページ構成も上下段になっている、超大作です。
著:スティーヴン・キング 訳:白石 朗
フリントシティという街で起きた、凄惨な男児殺害事件。
その遺体は、身体の肉の多くが削がれ、木の枝でレイプされた悲惨なものでした。
目撃証言から、DNAなどを含む物的証拠は、その犯人が、高校教師であり、
野球のリトルリーグコーチ、善良な市民である地域の有名人のテリー・メイトランドを
指し示していました。
刑事のラルフ・アンダースンは、この凶行を許せず、あえて多くの観衆がいる
野球の試合中に、コーチをしているテリーを逮捕します。
が、テリーには、犯行時刻には鉄壁のアリバイがありました。
友人兼弁護士のハウイー・ゴールドの助けを借りつつ、別の町で英語教師の集会に、
数人の仲間と共に泊りがけで出席していたという話を供述していきます。
ここまでは、まるでジョン・グリシャムの小説を読んでいるかのような感じで、
「あれ?これキングの小説だよね?」みたいな気分。
ところが、被害者家族が亡くなっていくあたりから、明らかに人外的存在の描写が
ちらほらと出てき始め、「きた、きた、きた、きたぁ!!キング節きたぁ!」と
なってくる。笑
下巻からは、ビル・ホッジズ三部作シリーズでおなじみのホリー・ギブニーも
登場し、本作でも大活躍していきます。
数えきれないほど著作のあるスティーヴン・キング。
映画化されたものには「グリーン・マイル」や、「ショーシャンクの空に」「IT」
など、ヒット作も数多くあります。
「IT」は映画は(怖いに決まっているし)観ていませんが、なぜか母が積読本に
していた中から、高校生くらいの頃に読みました。
「分厚っ!!しかも上下巻!?てか中のページも上下段じゃん!文字小っさ!」
くらいにしか最初は思わず、遅々として読み進められなかったのですが、
上巻の半分くらいのところから、徐々に引き込まれ始め、最後はしばらく一人で
トイレやお風呂へ行くのが怖かったくらいには、感化されてしまっていた。笑
キングの作品は、特に(超)長編作品を好んで読んでいました。
「不眠症」「セル」「11/22/63」「アンダー・ザ・ドーム」などお勧めです。
長ければ長い作品ほど、彼の作品は超自然現象が出てくるのかな。笑
本作で活躍したホリーが登場する、ビル・ホッジズ三部作も、好きでした。
より人間ドラマが描かれている感じもして、最初の二作品は、ザ・キング感はない
気もしますが。
娯楽小説なので、正直、本作について感想という感想や回想など今回はないのですが、
キングは読ませるのが上手いです。
それなりの長編なので、読むのに1カ月かかるかなーと思ったら、半分で済んだ。笑
中盤から後半にかけて、ちょっと中だるむ感じと、真相究明から実際の解決までが
若干あっさりしすぎていて、上で紹介した作品たちほど、スリルが思ったより
なかったかな、という感じではありますが。
ページを繰るのが止まらないくらいには、展開が気になるような構成でした。
でもなんかやっぱりちょっと、物足りない感は否めないですかね。
なぜキングの小説が好きなのか、新作を手に取らずにはいられないのか、
自分でも未だによくわかりません。
別に、ホラーやSFって、人間ドラマ感が薄れてしまうから、何かを学べたり、
個人的に心に響くものがあるわけではあまりないので、そこまで好きなジャンル
ではないのですが、、、
作品の世界に読者を連れ込むことが技巧に優れている(=読者が現実逃避しやすい)
作品の長さ(書籍重量自体が重いし、文字がぎっしり)による「本読んだ~!」感
が、今のところ思わず触手が伸びてしまう理由かしら。
本、読書に没頭したい!!という方には、キングの長編作品、オススメします!!