Kanae's Book Journal Occasionally with Movies

読書感想文とときどき映画。

<The 57th Book> 新しい出会いなんて期待できないんだから、誰かの恋観てリハビリするしかない 愛と教養のラブコメ映画講座

映画、ラブコメについての本、そしてジェーン・スーさんが著者。

こんなにも好きなものが揃っていいのだろうか、と思える夢の一作です。

(アラサーだし、正直まだちょっと出会いは期待したいけどね...笑)

 

「新しい出会いなんて期待できないんだから、誰かの恋観てリハビリするしかない 愛と教養のラブコメ映画講座ポプラ社著:ジェーン・スー & 高橋 芳朗

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www.poplar.co.jp

 

時々、オンライン記事で読んでいた、お二人のラブコメ映画講座。

書籍になってしまって、もう大興奮でした。

ご存じの通り、本(読書)大好き。

そして、映画も大好き。

実は、ブコメも相当好き。

そしてジェーン・スーさん、大ファン。

何なの、これ!?私のための本なの!?

とテンションが爆上がりして、即座にアマゾンで注文しました。

海外配送料なんて関係ありません。

しかも見て!表紙(カバー?)が可愛すぎる😭💛

 

 

ブコメなんて、チープな娯楽映画、文化人の観るものじゃないわよ。

とか、10年近く前までは粋っていましたが。笑

(と言いつつ、結構観ていましたけどね。)

本作の"愛と教養"というタイトルの言葉に、今となってはもう、

首が疲労骨折しそうなほど頷いている、成長した私♥

粋っていた当時も、なんだかんだ観ていたのには理由があると思っています。

 

①とっつきやすい。

粋っていた頃に思っていた、”娯楽映画”というのは今でもそうで。

映画って、1本90-120分とかで、年を取るにつれて薄れる集中力には、

しんどいこともしばしば出てきてしまって。

でも、自らの集中力に頼らずとも、(いい作品であれば)何となく

物語にうまく誘導してくれて、小難しい話もなく、さっと手に取りやすい。

それがいい意味で"娯楽映画"の、ラブコメだと思っています。

(時々、ちょっと重いやつもあるけどね。)

 

②登場人物を通して、感情のおさらい、感情デトックスができる。

普段、朝起きて、仕事をして、帰宅して、寝て、、、の繰り返しの

生活だったりすると、感性が、感覚が、感情が麻痺していっていることに

ふと気づくことはありませんか。

もしくは、仕事やその他の利便性のために、麻痺させる術を、

知らぬ間に自分で身に着けていたり。

効率が悪いから、感じることが、怖いんですよね。

Feelings自体を避けてしまうし、Emotionalになることなんて

もってのほか、という場面も多いはず。

そんな時に、ラブコメを観ると、自分だけでは思い起こせない感情を

心が感じてくれることがあります。

気付かぬうちに、微笑んでいたり、涙していたり。

感じることのおさらいをして、凝り固まった心が少しほぐれたりするのです。

 

②意外と恋愛主体(オンリー)じゃない。笑

これは、もう本作を読んでいただきたいですが。

ブコメといいつつ、各作品内の恋や愛の形も様々で、性的指向の違いは

もちろん、恋や愛の対象が家族であったり、仕事であったり、色々あります。

私自身も、恋愛体質ではない(というかむしろ避けているのだろか...)

から、色んな形の恋や愛を疑似体験したりして。

様々な形の恋愛を通して、自分自身と向き合う主人公から、

意外と学びがあったりするのもラブコメのいいところ。

 

そんなこんなで、"愛と教養"に半月板損傷するくらい膝を打っています。

 

 

対談・エッセイ以外に、巻末にも大量におすすめの

ブコメが紹介されています。

メインで語られている作品たちの中では、7割くらい観たことあったかしら。

観たことない作品も、観たくなるものばかり。

私のお気に入りの作品もいくつかあって、それらについては特に、

食い入るように読みました。

著者の二人の、考察、洞察が深い、感激。

あと、やっぱり鑑賞の仕方が繊細だな、とも思いました。

言うまでもなく(というか僭越すぎるけど)表現力が豊かだから、

言葉のチョイスが的確なのはそうなんだけど、映画が表現している

ストーリー自体や、登場人物の感情や感覚を、とあるセリフや場面から、

時代背景とかも含めて、(頭じゃなくて)心が納得するような形で

語ってくれている。

 

 

私はそんなに綺麗に明確に語ることはできないけれど、

好きだから、お気に入りのラブコメを綴っておくことにします。笑

 

🎬You've Got Mail 

www.imdb.com

これは本作でも語られていました。

Meg RyanとTom Hanks が主演です。

もう私、セリフ全部覚えるんじゃないかレベルで何度も観た。

インターネットが普及し始めた頃でAOLの回線を繋げている音も懐かしい。笑

児童書を扱う専門店で母親の跡を継いでいるKathleen (Meg Ryan)と、

大型書店経営の御曹司のJoe (Tom Hanks)のバーチャルと現実の出会いを

描いた、マンハッタンが舞台の映画です。

当地を舞台にした映画やドラマは数あれど、未だ訪れたことのない

ニューヨークへの憧れは、この映画が見せてくれた街なのです。

この映画がきっかけでThe Godfatherも全作、何度も観ちゃったり。笑

出会っているのに出会えないストーリー構成も、もう全てが素敵。

何より、ふたりのメールのやり取り、登場人物たちの言葉の応酬が

ウィットに富んでいて何とも秀逸、かつ愛らしい。

最近(というかもはや常に)デートに飢えている私に響く言葉、

こんな風に誘われたら、口裂け女になりそうなほど笑みがこぼれる

Tom Hanks 演じる Joe の言葉がこれ。

Hey, you want to bump into me on, say, Saturday around lunchtime?

ばったり会う約束ってなに!?

確かに(Joeからしたら意図的に)ばったり会ってきたけど、

ロマンチックすぎない!?

と思って、いつか誰かがこれを言ってくれるのを、初めてこの

映画を観た日からずっと待ち続けている私です。

 

🎬Notting Hill 

www.imdb.com

こちらも本作掲載作品。

最近は、在宅勤務のBack Ground Movieにしていたりして、

これも全セリフ覚えるんじゃないか並みに何度も観た。

著者たちも語っていたけど、Julia Roberts 演じる世界的有名女優の

Annaは、ちょっと傲慢だな、と私も思ってはいたのです。

出会ってすぐに、なんでキスしたの!?喜ばれること前提!?

モテる人って、自分が他人にキスするのは、もはや恩恵だと思っているのね、

みたいな。

著者のふたりは、Hugh Grant演じるWillにAnnaがいつ惹かれたか、という

議題を出していましたが、私個人的にはその反対がずっと疑問。

Willは名声のあるAnnaの美しさ以外のどこに惹かれたのかしら、と

思っています。

だって、Will って、全然冴えないけど、めちゃくちゃ心優しい人として

描かれているんだよ。

そんな人だからこそ、Anna の美貌以外のどこにどの時点で惹かれたのか、

いつintimateな気持ちを持ったのか、わからないんですよね。

それとも、やっぱり名声と美貌が、平々凡々な彼を圧倒したのだろうか。

とかいって、まあそこが"娯楽映画"たるラブコメなのかな。笑

そんなことを思いつつも、私はこの映画が大好きです。

Willの繊細さと、それをわかってくれる周りの友人たちとの友情が、

またこの映画の魅力。

 

🎬Spanglish

www.imdb.com

これは話としては中途半端な感じもある作品ではあるのですが。

メキシコから移住し、英語も話せないFlor (Paz Vega)がClasky一家の

ハウスキーパーとして勤務し始めてからの物語です。

Florと 娘Cristina (Shelbie Bruce)の母娘物語かつアイデンティティ物語でもあり、

Clasky 一家の機能不全一家の様相とFlorの各人との関係性も描写されており、

John (Adam Sandler)とDeborah (Tea Leoni)の夫婦の問題が描かれてもおり、

JohnとFlorに芽生える恋心も、、、

ちょっと内容が盛りだくさんすぎて、まとまりがない感は否めない。

でも、とっつきやすくはあるし、いいお話。(雑w)

ストーリーとしては個人的に好きでもあります。

つめこみすぎて深化させられなかったんだな、って感じだから、

考察を深めようと思えば、色んなきっかけはちりばめられています。

Adam Sandlerが The コメディ俳優としての出演ではなく、男性として、

親として、魅力的な役柄として出ているところも見どころ。

もうでも、何が素敵って、Flor演じるPaz Vega!!

彼女の一挙手一投足、どの表情もチャーミングで美しすぎて、

目が離せないのです。

スペインの女優、モデルさんらしく、他の作品は観ていないのだが、

彼女を一目見るためだけにでも、本作は是非とも観てほしい。

もうこの Flor役の彼女は、ため息が出るほど魅惑的なのです。

 

 

結構山ほどラブコメ映画は観ているつもりなのですが、

意外と、「これ!」ってドンピシャのものはない気もしている。

「誰かの恋観てリハビリする」というより、私は多分まず、

実際に恋愛して喜んだり怒ったり傷ついたりして、リハビリどころか

その前段階の経験が不足すぎるからかもしれませんね。

私が上述した作品たちは古いものばかりだけれど、

直近のラブコメは、人種や性別(ジェンダー)の見識もより幅広くなって、

ポリコレ的に安心して観られるものが増えてきています。

だからこそ、最近のラブコメのほうが共感ポイントはやはり多い。

あり得ないRomatic Comedy的展開だとしても、、より等身大で

描かれている感じがします。

 

 

本日、Christmas Eveですが、特に予定もない私は、それこそ

Christmas Romantic Comedy Movieでも家で観ながら、ほっこり

過ごそうと思います。